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ロッキーのドライブ旅行をナビする「ジプシーガイド」

by Yuichiro Sugiura last modified 2007-03-23 02:49

1000キロにおよぶロッキー取材旅行。ナビゲーション役を見事に務めたのがバーチャルガイド「ジプシーガイド」でした。今回はその試用感をレポートします。

ジプシーガイドとは何者?

ジプシーガイドは現地の見どころ情報を文字、音声、写真で案内してくれる旅のバーチャルガイド。携帯より一回り大きい程度の小さな機器です。この中にカナダ西海岸の旅の情報がぎっしりと詰め込まれているのですから驚きます。吸盤付きのホルダーでフロントガラスの内側にペタリと貼って使用。電源はシガーソケットから取り、音声はカーステ(FMラジオ)から流れるようになっています。

日本には観光案内付きのカーナビがありますが、ジプシーガイドはその観光案内の機能に絞った装置と考えるとわかりやすいかも知れません。カーナビのように現在地を把握しているので走行位置に合わせた情報が案内されます。地図情報はありませんが「200メートル先を右折してください」といったような英語での道案内はあります。

カナディアン・ロッキーをレンタカーで旅する日本人は増加の傾向にありますが、見知らぬ土地の運転は探検めいた楽しさがある一方、大なり小なりの心細さは伴うもの。英語とは言え、道案内をしてくれるのは頼もしさを感じます。また案内がつくと旅の面白さが増すだけではなく、同じ景色でも輝きを増して見えるから不思議です。ジプシーガイドはレンタカーで旅行する方にはお勧めの「ガイド」です。

この仮想ガイドを「雇う料金」は一日49カナダドル、1週間ですと225カナダドル(2006年11月現在、税別)。機器のレンタルとして考えるとちょっと高めに感じますが、プロのガイドを雇うことを考えると格安です。 貸し出し場所はカナディアン・ロッキーですとカルガリー国際空港、カルガリー市内、バンフ、ジャスパにあります。返却場所も同様。レンタルするには事前の予約が必要です。

[ジプシーガイドのサイト](英語)
http://www.gpstourscanada.com/

[ジプシーガイドの予約](英語)
http://www.gpstourscanada.com/Order.aspx

実際に使ってみました

2006年の夏にロッキーをレンタカーで取材旅行したのですが、その際にジプシーガイドを貸し受けて実際に試用する機会が得られました。これはラッキーでした。前からかなり気になっていたので是非一度試してみたいと思っていたのです。試用期間は1週間程。ジプシーガイドを評価するには十分な期間です。カルガリー国際空港で借りてバンフで返却というプランです。

旅の起点はカルガリー国際空港。到着して預け入れ荷物を拾うと真っ先に貸し出し場所に向いました。指定された場所はインフォメーションセンター。どうやらここに貸し出し業務を委託しているようです。メールで受け取った予約確認のプリントアウトを差し出すと、部屋の奥から黒いソフトケースを取ってきてくれました。

割と大きいなと思っているとと中身を取り出して簡単な説明をしてくれました。最初に見せてくれたのが本体。ウェブや広告で見ていたのでこれは想像通り。そしてフロントガラスに取り付けるためのホルダー、音声をカーラジオに送信するための装置、そしてコード類。後はマニュアル、予備電池と細かい部品など。

それぞれのサイズは大したことないのですがひとまとめにしてケースに入れると結構なボリューム。一度、到着ロビーのベンチに坐って改めて部品を確認してみました。ホルダーは揺れる車内でも脱落することのないようにかなりしっかりとした作りで、合体ロボの部品のよう。

カーステに音声を送信するための装置は本体よりも大きく堅牢そうな作りです。なるほど、ひとまとめにするとボリューム感があるわけです。小さな精密機器に慣れた日本人の目にはちょっといかつく感じますが、車に取り付けるものなのでそれほど小型化は意識されていないのかも知れません。後で開発元に質問してみたところ、FM送信器は色々調査した結果これが一番性能に優れていたとのことです。音質やバッテーリーの持ちで決めたのでしょう。

取り付け簡単、でも少々苦戦

空港でレンタカーを借りて車に乗り込み早速ジプシーガイドのセットアップ。空港からでたその時からジプシーガイドの案内を受けたいところ。再びケースから部品を取り出します。先程、じっくりと部品を観察しておいたのでどれをどこに付けるかはほとんど迷いませんでした。

唯一戸惑ったのはホルダー。例の合体ロボの部品です。取り付け自体は簡単です。吸盤をフロントガラスに貼付け、無骨なアームでガチャリと本体を挟むだけ。ですが、位置を調整しようとすると吸盤やアームの外し方がよくわからない。空港の駐車場は屋内のため暗く、部品がよく見えないのも災いしています。

ここで実際に借りる方へのアドバイス。ホルダーの取り付けや操作方法は空港のロビー等、明るい所で確認しておきましょう。そしてもう一点。空港の駐車場ではあまり取り付け位置にこだわらず、視界の邪魔にならない所に取り付けて出発してしまいましょう。細かい調整はどこか明るい所に車を停めてゆっくりとどうぞ。

さてセットアップを完了して電源を投入してみると。現在地測定中のメッセージが表示されて何分立っても消えません。ん、不良品?と不安になります。しかしそれは早とちりでした。屋内なので衛星からの電波を拾えていなかったのです。途中でそれに気がつき、駐車場の外に出て見るとすぐに動作がはじまり旅のはじまりを歓迎するメッセージがカーステレオから流れました。「カルガリーへようこそ!」

特筆すべきは本体の使いやすいさ。電源をオンにするだけでガイドが始まるという親切設計です。ボタンが数個ありますが、これが必要なのは案内をリピートして聞きたいなどの場合だけ。実はジプシーガイドには走行したルートを記録し、その中から任意の地点の案内を再生したり、現在地付近の情報を表示したりする機能があるのですが、僕が借りた時はこれらの機能は無効になっていてメニューにはありませんでした。不具合があったためこの時はたまたまオフになっていたそうです。でもこうした付加機能を使わないのであれば操作はハンズフリー。ほとんど操作が不要なシンプル設計になっています。

プロの内容、プロの音声

ジプシーガイドの声は陽気。プロの声優さんなのでしょう、聴き取りやすい英語で音質も良好です。最初に感心したのは道案内。道案内が つくとは思っていなかったので「左に車線変更してください」という案内がでた時にはちょっと驚きました。

さらに感心したのは道案内の方法が押し付けがましくないように工夫されていること。このままカナディアン・ロッキーに向いたい場合は直進、カルガリー市内観光をしたい場合は左にまがってください、といったように選択肢を与えてくれます。あくまでも旅の主役はあなた。私は可能な限りお供させていただきましょう、という姿勢です。ただ設定ルート以外の観光情報は入っていないので、想定外の道を走ると無言になってしまうのはご愛嬌。それでもどこかでルートに合流するとその地点からの案内が再開します。

案内内容は多彩です。見所の名称や見える方向はもちろんのこと、歴史や自然などに関するトリビア的知識もたっぷりと教えてくれます。一人旅なのに「へー!」と唸らされる場面もしばしば。ユーモアに溢れた語り口ににやにやと笑ってしまうことも。開発にあたって娯楽性を重視したとのことですが、その点見事に実現されています。

カルガリー空港から市街地を抜けるのはちょっと面倒。カルガリーの街ってのっぺりとして特徴がつかみにくいのです。しかもハイウェイが縦横に配置されているので、どこをどう乗り継いでいくのかわかりづらい。ですので、ジプシーガイドの道案内はとても役に立つことでしょう。

しかし、一度カルガリーを出てしまえばロッキーまで一本道。ロッキーに入っても道は極めて単純なのでせっかっくのジプシーガイドの道案内もあまり役に立たないだろうーー出発した時はジプシーガイドの親切な道案内に感心しつつも、そうたかをくくっていました。地図もありますしね。

でもそれは間違いでした。どんなに簡単な道でも始めてのところは始めて。地図上で場所はわかっていても実際に行ってみると迷ったりすることがあります。

それに運転しながら無数の山から、一つの山を見つけることなど不可能に近い。例えばマウント・コーリーを見たい、と思って見つけるのは至難の技です。特に今回は取材目的の旅。あらかじめ予定していた場所はきっりと訪れたい。ですのでジプシーガイドさまさま、と感 謝する場面は何度もありました。ジプシーガイドなら見える方向を教えてくれるし、多くの場合写真が表示されるので見当違いの山を見ながら「ほー、噂通り美しいな」とうなずくような愚を避けることもできます。

大事な事はジプシーガイドが音声で案内してくれるので、見落としや道間違いの心配もなく気持ちに余裕を持って運転できるのもありがたいです。その分じっくりと景色を見られるし、安全運転にも気を使るのですから。おかげで、世界で最も美しいハイウェイと賛美されるアイスフィールド・パークウェイの魅力をじっくりと堪能することができました。

アイスフィールド・パークハイウェイはレイクルイーズとジャスパーを結ぶ230キロの道。カナディアン・ロッキーの豪壮な山々と、きらめく氷河が織りなす景色はまさに絶景です。道のことはジプシーガイドに任せて、車窓を流れる景色を存分に楽しみたいところです。景色を見るだけでも素晴らしい 体験となると思いますが、ジプシーガイドの英語のよる観光ガイドもわかるのであれば楽しさは倍増するでしょう。窓から眺めるだけでは決して見えない事。すなわち ロッキーを背景とした人間と自然のドラマ、歴史の妙を語ってくれます。動物頻出スポットをさりげなく案内してくれるのも動物好きの旅行者にとっては嬉しい限りです。

ガイドの内容は豊富。特に見所がぎっしりと詰まっているアイスフィールド・パークウェイでは頻繁に案内があります。ただジャスパー周辺はちょっと内容が不足しているなという感がありました。マリーンレイク方面では沈黙時間が数十分続くことも。この点は今後の充実を期待したいところです。

日本語版の登場は?

期待したい事と言えば、もちろん日本語版の登場です。日本語版があるのならジブしーガイドはロッキーのレンタカードライブには必須アイテムと言い切ってしまいたいところです。現状では英語が得意な方以外は使い方が限定されてしまいます。ただ簡単な英語なら聴き取れるという人にとっては簡易カーナビとしても十分に使えます。また英語を学習したいという人にとっては教材としてはなかなか面白いのではないでしょうか。

それからもう一つ要望。本格的なカーナビとして進化するか、カーナビの機能に統合されて欲しいところです。カナダではカーナビは全然普及していないのですが、それでも最近はちらちらと見かけるようになってきました。レンタカーのオプションとして提供されていることもあるので、もし旅行者がジプシーガイドつきのカーナビが借りられるようになったらとっても便利だと思うのです。しかも自分の母国語で提供されるのなら言う事ありません。

欲を言えばもっともっと要望がでてきますが、多機能化して操作が複雑になるのは避けて欲しいところ。機能的には今のままのシンプルなジプシーガイドがいいのかも知れません。気難しいところがなく、親切で頼りになる仮想ガイド。それがジプシーガイドです。

  
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