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暖かい冬?
日本からのお客様が投げかけるFAQトップは冬の様子。皆さん、さぞかし特殊な気温や積雪を想像されているのだろうが、以外にも寒くないという事実や体験を、多方面から紹介してみたい。
カナダ大使館のホームページによると、カナダの気候は「多様」と表現され、広大な国ゆえ5つの気候に区分しながら分かりやすい解説を載せている。 気象条件の厳しい極北地方が存在するのも事実だが、人口のほとんどはアメリカ国境から300km以内に居住し、年間の6割以上を快適に過ごしているとも記述も見逃せない。
太平洋岸のバンクーバーなどは海流の恩恵で真冬でも温暖。気温が0℃以下になったり積雪に見舞われたりということもほとんどなく、10月からの半年間は雨季に相当する。付近は地理的条件にも恵まれ、温帯雨林(レインフォレスト)という屋久島の北部と似たような巨木の森まで形成されている。
私が暮らすのは、ロッキー山脈の東斜面に位置する町、キャンモア。有名な観光地バンフまでは車で20分の距離だ。この周辺は、西から山を越えてきた「Chinook(シヌーク)」という強風が頻繁に吹き抜けることでも知られる。高温で非常に乾いたこの風は、短時間で気温を上昇させて雪を解かす勢いがある。よく聞く「フェーン現象」を想像していただければ分かりやすいだろう。
この風が吹くことで、真冬のポカポカ陽気を頻繁に楽しめたり、積雪が想像以上に少ないことも日常の様子。気温がプラスのふた桁まで上がることもしばしばで、条件によっては上着がじゃまになることも珍しくない。真冬の運転中に暖房を停止することはもちろん、エアコンを稼動させた経験を持つのは私だけではないだろう。かつて、マイナス17℃の気温が4時間後にはプラス13℃に上昇し、温度差が30℃に達した記録も残っている。
水蒸気をたっぷり含んだ太平洋からの暖かい空気は、5つの山脈を横断しながらロッキー山脈の東麓を目指して行く。空気が斜面に沿って上昇(膨張)と下降(圧縮)を繰り返すことで、西側の斜面では多量の雨や雪が降り、逆に東斜面は雨も雪も少ない相反する気候区分が存在することになる。
細雪(ささめゆき)という表現があるが、乾燥した東麓の雪は本当にそのまま保存したくなるほどの美しい結晶。雪だるまも作れない繊細な雪には、心に深く刻まれるような輝きさえも感じてしまう。
カナダは気候の厳しさばかりが取上げられるが、地形や位置的な理由から寒冷・豪雪などのマイナスイメージを払拭できる地域も少なくない。カナディアンロッキーでもバンフやキャンモアなどはそのいい例。マイナス20℃以下の寒波もときどき遊びに来るが、近年は訪問回数も極端に減っている。さらさらの雪を体験しながら、意外に寒くないこの土地で、冬期限定の野遊山をお楽しみあれ。