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エルク減頭作戦発動中
バンフ周辺でエルクが急増しているそうです。2004年に93頭だったのが、なんと現在は204頭。たった3年で倍以上ではないですか。観光客にとっては野生動物との遭遇率が増えるのだから喜ばしい事のように思えますが、そうも言ってられないようです。
日本に鹿害という言葉がありますが、カナディアンロッキーでもそれは同じこと(エルクは鹿の一種です)。エルクは下草や樹皮を餌とするので、頭数が増えすぎると幹がかじられて樹木が痛んでしまうのです。特にヤナギやアスペンの被害が大きいとのこと。アメリカのイエローストーンではエルクの増加が原因で森が死滅しそうになったこともあるとか。
またエルクは見かけによらず気性が激しく人に危害を加えることも少なくありません。エルクの増加は観光客にとっても脅威になりかねないのです。
動物は見かけで判断するなかれ。シャッターチャンスとばかり近寄りすぎないようにご用心を。彼らのキック力はK1格闘家のそれを軽く凌ぎます。
エルクが増えた原因は狼やクーガーと言った天敵が減ったこと。なぜ狼やクーガーが減ったか。それは人間が幅をきかせるようになり、それを嫌って居場所を変えてしまったから。どうやら悪者はエルクではなく人間なのかも知れません。
さてこの人間様、聖なる森林をエルクから守るために立ち上がりました。実験的に10頭のメスのエルクにGonaConという鹿用の避妊剤(性欲減退剤)を注射し、繁殖を抑制しようという作戦を打ち出したのです。これなら射殺や毒殺といった荒っぽい手段に訴えることなしに、エルクの生息数を減らせます。めでたし、めでたし…
もちろんこの「めでたし」に疑問を投げかけている人たちもいます。
GonaConに既知の副作用がないとされているとは言え充分な試験が行われているわけではない。GonaConが作られているアメリカでさえまだこの薬の許認可を受けていないではない。カナディアン・ロッキーのエルクを試験に使うのはけしからん。ーーというのが環境保護団体の言い分。
なるほど。その辺、確かに気になりますね。
おそらく最良の解決策は人間がカナディアンロッキーから退場すること。でもそれはほぼ不可能なので、動物と人間の共存の道を探っていくしかありません。そして共存のためにはどこかで妥協点が必要になるでしょう。
避妊でエルクに協力いただく、というのは妥協点としては悪い発想ではないと思います。ただこれは副作用がなければという前提ですし、思わぬしっぺ返しを環境から受けることになるのかも知れません。
公園管理局ではまずはバンフ周辺で2年間試験実施。結果が良好であればバンフ国立公園全域で長期的に実施するつもりだそうですが、注意深く、そして充分な敬意を自然に払いながら実施して欲しいものです。
[Banff Crag & Canyonの記事]
http://www.banffcragandcanyon.com/News/332585.html
http://cgi.bowesonline.com/pedro.php?id=65&x=story&xid=327400
http://cgi.bowesonline.com/pedro.php?id=65&x=story&xid=327400
[Outlookの記事](英語)
http://www.utsb.ca/PDFs/Outlook_Aug16_2007.pdf
[GonaConについてのQ&A](英語)
http://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1006&context=usdaaphisfactsheets